自民党がいまもっとも知られたくないといわれる数字をご紹介しよう。
2016年にもSNSを駆け巡り、facebookでは100万リーチを超えたと言われる。テレビの視聴率に換算すると約1%に該当する数字だ。この画像がここ数日また広まり始め、ツイッターでも七万リツイートを越えて広がり続けている。(*この画像は使用フリーとなっているので、様々なアカウントから重複発信されているので、実数は10万リツイートを超えているものと推測)
フェイスブックに流れてきた画像(作者をご存知の方がおられたらご教示ください)。このインフォグラフィックは秀逸。 pic.twitter.com/nbXM5GI6sC
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) 2016年1月22日
今週末に迫った衆議院議員選挙の投票日に向けて、このインフォグラフィック(画像)が再び、ものスゴイ勢いで拡散されている。
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なぜ、内閣不支持が支持を上回っているのに、まだ自民党の支持率が高いのか?
最新の世論調査の結果を見ると、内閣支持率は「不支持」が「支持」を上回っている。

ここで生じる疑問が「内閣不支持が支持を上回っているのに、まだ自民党の支持率が高いのか?」だが、その答えのヒントが下記の図にある。

この数字は、内閣支持・不支持の割合とほぼ一致している。
今回の選挙では、希望の党という微妙な政党が現れたことで状況が不透明になっているが、与野党の得票数はほぼ拮抗しているのである。
一体、誰が自民党に投票しているのか?
少なくとも都心部において、筆者の回りでよく聞かれる声は、安倍政権不支持の声であり、それは市民活動を行う人々や、政治に関心の高い人々に留まらず、様々な層に広まっている。
ここで疑問が湧く。
「じゃあ一体、誰が自民党に投票しているのか?」
考えられる理由として「支持不支持と投票行動は連携しない」というのもあるが、その他に、
ひとつは
「自民党を支持する人は、もともと自分の交友範囲にいない」
もうひとつは
「自民党に投票している人ははっきり支持政党を言わない」
などがあるのではないだろうか。
仮説1:自民党を支持する人は、もともと自分の交友範囲にいない
属性別の支持政党に関する調査(第 46 回衆議院議員総選挙全国意識調査)を元に、グラフを作成してみた。
経営者・役員・管理職の人々は42.7%が自民党を支持しているが、一方、学生・派遣社員といった人々の自民党支持率は低い。
確かに、筆者の交友範囲に経営者は比較的少ない。また、そういう方達と話す機会があってもまずは仕事の話がメインになるので、政権支持不支持の話にはならず、結果として「政権不支持」の声だけが耳に入ってくる、ということなのかもしれない。
それにしても経営者層の自民党支持者の割合が突出していることには改めて驚かされた。
仮説2:自民党に投票している人ははっきり支持政党を言わない
十数年前までは「自民党に投票しない」と口に出しにくい状況あったのが、昨今では逆に「自民党を支持する」「自民党に投票している」ということが、いわば「恥ずかしい」ことになってきているのではないだろうか。このことは「安倍政権を支持しない」とはっきり口に出すことをはばからない人たちが、いわゆる知識人やメディアを含めて急速に増加していることからもわかる。
これは朗報である。
例として、原発の是非をめぐる世論の状況と比べてみよう。
かつては、「原発に反対」ということは口に出しにくい状況があった。それが東日本大震災を経て、まず勇気ある人たちが「原発反対」の声をあげはじめ、それはさざ波のように広まり、現在では「原発に賛成」と発言する人たちの方がマイノリティになっている。
これと似た状況が、選挙でも起きはじめているのではないだろうか。
社会の変化は、過去に比べて、数十倍の速さになっている。雲行きも、オセロのように一気に変わる。
では、その変化はどうやったら起こすことができるのか?
もしくは、加速化できるのか?
その答えのひとつが、冒頭のインフォグラフィックである。
次に、なぜ有権者の半分近くが「選挙に行かなかった」のかについて考えてみよう。
選挙に行かなかった理由は?
前述の意識調査によれば、選挙に行かなかった理由は下記のようになっている。
1位:「適当な候補者も政党もなかったから」(26.1%)
2位:「仕事があったから」(24.3%)
3位:「政党の政策や候補者の人物像など、違いがよくわからなかったから」(19.1%)
4位:「選挙にあまり関心がなかったから」(17.6%)
5位:「選挙によって政治はよくならないと思ったから」(17.3%)
2位の「仕事があったから」も、期日前投票を利用すればほぼクリアできることを思うと、結局「よくわかんないし、いい人いないし、自分が投票しても変わんないし、行かなくていいやー」と言ったところだろう。
1票の値段は360万円
前回の衆議院選挙で、1票の価値を下記のような計算式で計算した人がいる。
国家予算(約90兆円)×4年➗有権者数(約1億円)=360万円

妙に納得できる数字だ。
結局、どうすれば投票率が上がるのか?
上記のような数字で説得するのもひとつの手だが、それでも「よくわかんないし、いい人いないし、自分が投票しても変わんないし、行かなくていいやー」と思っている人たちは「選挙に行こう」とただやみくもに言われても、なかなか動かないだろう。
結局は「投票したい」と積極的に思える政党や政治家の存在が不可欠なのだ。
実際、2017年の都議会議員選挙では、投票率が51.27%と、前回の43.50%から7.77ポイント上昇し、都議会自民党との対決姿勢を明確にした都民ファーストの会が49議席を獲得し、自民党は議席数を57議席から23議席へと大きく減らした。
選択肢さえあれば、投票率は上がり、自民党の得票数も減るのである。
立憲民主党が急成長
今週末、2017年10月22日の衆議院選挙において、「よくわかんないし、いい人いないし、自分が投票しても変わんないし、行かなくていいやー」と思っている人たちの受け皿としても急成長しているのが立憲民主党である。ツイッターのフォロワー数が、たった数日で既存政党をはるかに抜き去ったことが話題になっているが、立憲民主党のスゴさはそれだけではない。
詳しくは、急速に広まっている東洋経済オンラインの「立憲民主党、ひょっとしてひょっとするかも 今回の選挙の「台風の目」は希望の党ではない」や「立憲民主党の本当のスゴさはフォロワー数ではない。8つのスゴさと「市民との協働」とは?」などの記事も参照されたい。
最後にもう一度この画像を載せる。
この状況を変えられるかどうかに日本の未来はかかっている。選挙に行きましょう。(ジャーナリスト・森野あかり)