社会を変える、考えさせられるソーシャル・アート8選

芸術の秋。
「アート」というと、「縁遠いもの」「非現実的なもの」「特別な人が作るもの」「浮世離れしたもの」といった印象を持ってしまいがちだが、現代アートは、様々な形で、現実の社会的課題に取り組んでいるのをご存知だろうか?

今日は、横浜トリエンナーレ2017の展示を中心に「社会を変える。考えさせられるソーシャルアート」をご紹介しよう。

 

圧倒的な迫力で難民問題を体感させる

まず、最初に目に飛び込んでくるのが、横浜美術館の外壁を利用したアイ・ウェイ・ウェイによるこの作品である。

アイ・ウェイ・ウェイは社会活動家としても有名な中国出身のアーティストで、政府を批判する作品も多く発表している。

今回の作品は、欧州に拠点を移した2015年以降に取り組んだ難民問題に関連し、救命ボートと難民によって実際に使われた救命胴衣によるインスターレーションである。

ともすれば遠い存在になりがちな「難民」の存在が、一言の言葉もなしに身近なものとして迫ってくる作品だ。

 

国境、憲法について考えさせられる「どこでもない国」

これは、「どこでもない国」の大使館である。

アレックス・ハートリーによるアートプロジェクト「Nowhereisland(どこにもない島/ここが国土)」の入国審査は、横浜美術館の正面に設置された、この移動式大使館 「The Nowhere Embassy(どこでもない国大使館)」で行われている。
入国希望者は、新たな国の憲法を提唱し、入国が許可されると、Nowhereislandの「国土」の破片をもらうことができる。

これは、アレックス・ハートリーが、2004年に北極圏で、後退した氷河の下から現れた地図にない島を発見したことをきっかけに独立国家を立ち上げるプロジェクトだ。入国者の提唱した憲法の内容など、詳しくはこちら

国とは何か、国境とは何か、憲法とは何か、など根源的な様々な問いを含んだ作品で、非常に考えさせられる。

 

メキシコとアメリカの国境に住む家族を描いた映像作品

「国境」と言えば、連携プログラムである黄金町バザール2017ではChim↑Pomによる作品を忘れてはならない。Chim↑Pomは、様々な「ボーダー」をテーマにしたプロジェクトを展開しており、今回は、メキシコとアメリカの国境を訪れて制作した映像作品「The other side」が上映されていた。国境に住む人々のたくましさ、哀しみが胸に迫ると共に、第三者が勝手に作った「国境」の意味を問うてくる。

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