社会を変える、考えさせられるソーシャル・アート8選

 

福島の帰還困難区域にある「見に行けない展示」

そしてこのChim↑Pomが横浜トリエンナーレの会場となっている赤レンガ倉庫で展示していたのが「Don’t Follow the Wind」だ。

これは、東京電力福島第一原発の事故によって帰還困難区域に指定されたエリアに、元住民の方の協力を得て12組のアーティストが作品を設置するというプロジェクトで、2015年に開始された。
観客はVRゴーグルをつけて帰還困難区域内にある作品を鑑賞する。

未だに原発の問題は全く解決されていないのだということを、改めて思い起こさせてくれる、強いインパクトのあるプロジェクトだ。

 

1枚の写真が放射能汚染についての問いを投げかけてくる

原発関連でいえば、黄金町バザール2017での宇佐美雅浩氏による、白い防護服を着た人々のお花見の写真も印象に残る。これも幾千の言葉より、1枚の写真で人々の記憶と心を揺りうごかす作品だった。

 

憲法9条を延々と投影するインスタレーション

横浜市開港記念会館の地下では、柳幸典氏のインスタレーションが複数展示されていた。その中の一つがこの「アーティクル9」で、憲法9条の内容をLEDで表している。

作品自体は、憲法9条や改憲の問題について、是とも非とも言っていない。答えは見る人々の中にある。

どのように共に生き得るのかなどについて考えるひとつの契機に

そもそも、今年の横浜トリエンナーレは、下記のようなコンセプトで実施されている。

世界は今、従来の枠組みを超えて様々なネットワークが拡大する一方で、紛争や難民・移民の問題、保護主義や排外主義、ポピュリズムの台頭といった課題に直面し、大きく揺れています。(中略)先行きの見えないこの時代に、人間の勇気と想像力・創造力がどのようなビジョンや可能生を拓くことができるのか、多くの人々とともに考え、開講の地・横浜から新たな視点を発信します。
(パンフレットより)

 

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